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死ぬってわかって
死の側からの視線だと思って読むとまた痛烈に心に響いたり。
以前、『鳩よ!』という雑誌に書いた「ワンダフルライフ」(是枝裕和監督)の感想。

 映画を観なくても死にやしない
さ、と言う人がいるが、死ぬので
ある。観ても死ぬから人間はやっ
かいだが、考えようによっては、
どのみち死ぬのだから単純で良い
のかもしれぬ。
 さて、死んだ。
 古い校舎のような場所。死んだ
あなたは、こう言われる。あなた
の人生の中から大切な思い出をひ
とつだけ選んで下さい。そして、
その思い出をわれわれスタッフが
再現しフィルムにして上映会をい
たします。その時の気持ちだけを
胸にあなたは天国に向かうのです。
 「ワンダフルライフ」は、そう
いった設定の映画だ。
 死んでいる。「ワンダフルライ
フ」に出てくる人たちは、生きて
いるという設定の登場人物はひと
りもいない。だが、死についての
映画という印象は残らない。天国
に向かう前の人たちは、死者でも
なく生者でもない。そういった何
か人生(というと生きている時だ
けになるからダメだ、ええと、生
死を越えた永遠の時間)の上から
ひょいと脇道にそれて、ちょっと
一休みしているのような、そんな
空間。長い長いレールの脇の原っ
ぱで、今まで来た遠い道を眺め、
そして反対を向いて、まだまだ続
く長い道を望む。そんな優しい時
間を感じさせる。人と人とは、ど
うやって関わっていくのだろうか
? 思い出というのは、来た道の
中にあるけど、望む道を見ること
によって生まれてくる。人の時間
の一部を、こんなにも優しい時と
して描いた映画があっただろうか。
宮沢賢治が死を前にして書いた詩
「眼にて云う」の一節を思い出す。
どうも間もなく死にさうです
けれどもなんといい風でせう
この映画は大切な人と
一緒に見て欲しい。そ
して、見終わった後、
今までの人生の思い出
と、これからの人生の
思い出について語り合
えると良いと思う。そ
んな映画だ。
*「ベストセラー本ゲーム化会議銀河鉄道の夜編」の脚注です。
by gogoyone | 2005-05-15 02:23 | BGK
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